別の蜘蛛の巣

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ariaのイベント二日前に嵩が細かい情報を入手した。 「鷹…まじでやばいぞ、aria」 嫌な予感は的中しやすく、やはりなと鷹は嘆息した。 「どのくらヤバイって?」 話す内容を人に聞かれてはまずいということで、授業の入っていない視聴覚室の窓際の机に座り、向かいの机に鷹の長い足は放り出された。 「結論で言えば、薬と乱交?」 乱交くらいは想像がついていたが、薬となるとまた話が変わる。 そして嵩が語尾を疑問形にしたということは、まだ何かある要素があるということだ。 「薬ってお前…まじかよ…」 工藤が属している鴛龍会(えんりゅうかい)は組長の方針から薬の類を嫌う。 合法ドラッグなど手軽に入手できる世の中で、この街での売買を硬く禁じて、配下にもそれは徹底していた。 組のシノギである風俗店でも薬は扱わず、風営法もギリギリのラインで営業しているほど、今時珍しいヤクザであった。 古い仁義を重んじるこの鴛龍会の組長は関東一円を牛耳る連合の幹部ということもあり、よその組の横槍もまず入った事がなかった。 工藤はその組長から一目置かれる存在であり、ヤクザ独特のイメージを感じさせないスマートな男であった。 「で、オーナーは工藤さんからほかの奴になってんのか?」 「いや、それがな…工藤さんがオーナーなのは変わりないんだ。」 工藤という男を知っている以上、どう考えても腑に落ちない話であった。 ariaは彼が趣味の店だと言った事もあり、色々な意味で綺麗な店であったのだ。 マスターは古い友人で組とは無関係の人間、スタッフも面接などは立ち会うが基本的に工藤は口を出さない。 マスターが見込んだ人間しか勤務できず、その目は確かなものだと、店に通う鷹は実感していた。
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