別の蜘蛛の巣

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「嵩…お前の情報網の方が俺には怖いぞ?」 ヤクザの幹部の動向なぞ、ただの高校生に突き止められるわけもない。 嵩のネットワーク恐るべし だ。 「俺の『嵩ch(チャンネル)』は最高だろ?」 自分の携帯を人差し指でコツコツ叩いてにやりと笑う姿は様になってはいる。 しかし、鷹はどうしても言わずにはいられなかった。 「そのネーミングセンスだけは最低だな。」 「なにっお前!こんだけ情報集めてる俺様のセンスに何を言うかっ」 ネーミングに自信があったらしい嵩は鷹の足をごとりと机から落とした。 「そこは感謝してる、だが、そのセンスはいただけない。」 お互い譲れないラインがあり、いつもここで意見が別れる。 ふとグラウンドに視線を落とした鷹は絢の姿を見つける。 学校指定のジャージ姿でハードル走の順番を待っているようだ。 まだ話は途中であったが、眩しいものを見るように絢を見る鷹へ嵩は静かに声をかける。 「鷹、俺達は正義の味方でも、工藤さんとこの手下でもねぇ。 目的をはっきりさせておけよ? じゃねぇと、お前までパクられるか、森尾にやられるぞ。」 鷹が何をしようとしているのか、嵩には言わずとも理解している。 だが、どこまで行動を起こすかによってはただの夜遊び小僧の枠を超える。 「あぁ、分かってる。 動くにしても俺は面が割れ過ぎてるしな。 できるなら、あいつをariaに行かせたくねぇんだがな…」 鷹は絢の行動を自分の意思でどうにかしようという考えは思いつかない。 絢のしたい事をさせて、危ないようであれば、そういう事態にあわないようにさえなればいいとだけ思っている。 「まー、行くなってのはもう無理だな。 既に行く気になってる奴らは山のようにいるしな、今、このタイミングで夜宴だの森尾だの口走っても効果はねぇ。 逆に煽るだけだ。」 「分かってる。」 明後日の夜。 ariaのイベントが始まる。
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