別の蜘蛛の巣

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ariaイベント前日 いつもの教室の休み時間も、にわかに賑わっていた。 「絢ー!明日何着ていくー?」 「うんとね~たぶん、これかなーっていうのはあるんだけど、一応、帰りに駅前覗こうかなって思ってる~」 クラスの女子はそんな会話ばかり、男子も少し明日を意識しているような様子だ。 なんとなく浮き足立った、遠足前のような空気が事実を知る鷹とその友人には居心地悪かった。 「知らないって、すげぇよな…」 机に頬杖ついて棒つきのアメを口に含み、その棒を上下させながらうんざりと呟いた。 「姦わされに、着飾ろうってんだからなぁ…」 提は、身持ちが硬く、真面目な性格であるので複雑そうに眉をしかめた。 組の絡みを抜いても、暴走族相手に暴れるほど馬鹿ではないが、やはりこうしてにariaへ行こうとしている人間を見るとため息をついたり、落ち着きがなくなるのは仕方のない事だと鷹は思っている。 その鷹の思うところと言えば、純や提のように思いやりを持った人間の苦渋をなめるような思考ではなかった。 絢が駅前に行くなら、自分も駅前辺りでふらりとしてみるか。 その程度なのである。 チンピラや暴走族が目立ち、物騒になってはいるものの、明日の事を考えれば問題は起こせないはずなので暢気なものである。 「まぁ、でも、しゃーないんじゃね?」 朝からメールだの着信だので忙しそうにしている嵩が携帯の画面を見ながら呟いた。 「俺らで助けられることにも限度はあるし、正直言えば助ける義理がねぇ。 更に言うと、自己責任ってもんだろ、こんだけ話題になってんだ…行く時は一人にならないようにするーとか、女なら警戒してしかるべきだろ。」 何も知らずにほいほい罠にかかりに行く奴の面倒なんて、見てられっかっての と、吐き捨てる嵩の言う事は一理あるが、やはり止めてあげたくなる純た提の気持ちは心理の部分で一理あるというものだ。
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