別の蜘蛛の巣

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でもさ、でもさ…と小さく呟きながら、浮かれている周りに聞かれないように声を潜めて純は俯いて続けた。 「俺らが言って止められればそんだけ助かるじゃん?だったらーと思わなくもねぇんだよなぁ…」 純は基本的に人がいい。人が集まればそれをニコニコと盛り上げていくようなタイプである。 ちょっとした行動は発言で人間が動く事も分かっている。 いつもたくさんの人間に囲まれてる純であればそれもまた、効果のある方法ではある。 「お前、それしたら俺達は二度と自分の家のベッドでは眠れないと思えよ?」 携帯から一瞬だけ純に視線を移して嵩が一段と声を低くして言う。 「分かってるよ…だからこんなにやりきれないんじゃないかぁ!!!」 ああああああああ と呻きながら机を掴んでガタガタと揺らす。 そんな純の、やはり同じようにやりきれない気持ちが大きい提が背中をぽんぽんと軽く叩いた。 「で、お前ら明日どうすんだ?」 鷹は明日一人でariaに行くつもりだが、友人はどうだろうとぼんやり思い口に出してみた。 すると、3人が3人とも、間抜な顔をして鷹を見ている。 「な…なんだよ…」 さすがに、ものすごーく馬鹿にされた視線に、普段焦ったりしない鷹でもうろたえた。 「「「お前さ…実は馬鹿じゃね?」」」 人間が2人でハモるのは耳にした事はよくあるが、3人がハモるのはなかなか耳に出来ない事である。 「はぁ?俺に馬鹿とか言うならお前らの試験の結果言えよ!」 なんだか分からないが事情に馬鹿にされた事だけは感じたので、珍しく鷹が噛み付いた。
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