蜘蛛の日常

7/10
前へ
/67ページ
次へ
教室の後ろ窓際に鷹が連行されると、嵩同様に笑いだす二人。 大石提(おおいし だい)と倉内純(くらうち あつし)はこの高校からの付き合いだが気心が知れて、楽なスタンスでいられる。 笑い飛ばされても特に腹も立たない。 「これまた派手にやられたな…ぶっっ」 「純~あんまり笑うなよ~爪が長い女だったろ、三本線が顔に…ぶぶっ」 提がフォローしたかったようだが笑いにかきけされている。 「うるせぇ、自分から乗っかってきて、勝手に勘違いして、勝手に怒ってコレだ…うぜぇ」 顎にかかる腕を振りほどき、頬にある三本の赤線をさすりながらぼやく。 「お前、いつもの場所で決まってコレだからなぁ~」 嵩の言う通りなのだ。 自業自得である事もわかってはいるが、女という生き物はどうしたらそう考えられるんだ?と、思う。 自分のいいように解釈し過ぎだろう。 無機質なチャイムを確認するとそれぞれ席に着き始めた。 そして今日も一日が始まる。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加