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出会いの章
学校に着いてから、カバンの中にいれるはずのものを忘れた僕は、家に帰るか渋っていて、いつものメンバーで相談を持ちかけていた。
「帰ったほうがいいんじゃねえの?あの先生、宿題は薄くする天使だけど、サボったら悪魔だぜ?」
「まだ時間あるから行っておいでよ。間に合わなかったら、トイレにでも行ってたことにしたらどうだい?」
結局、僕は雪の上を走って家に帰ることにした。公園の前にあるクリスマスツリーまで来たとき、母親の姿と祖父の姿が見えた。どこかに出かけるのだろう。ということは、今は誰もいないはずだ。父親も、僕は学校にいると思ってるはずだから、いつもの夕方の時間になるまで帰って来ないはずだ。
予想通り、僕が家に入ると、誰の気配もしなかった。そのまま椅子の下などを見て回ると、五分も経たずに宿題のノートを発見した。僕は、それを脇に抱えて、外に出た。家の鍵は、特にないが開かないように石を置いておく。
背後から、ざくっと雪の上に立ち止まった音がした。そして続けて
「素敵な家ね」
と女の子の声がした。僕の心臓は、ばくばくと体全体を波打たせていた。
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