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「おい、それ本当か?」
ゲートルの口から、溶けかけたチョコレートが、ひとかけら落ちた。
「うん。それに綺麗な顔立ちで、金髪だった」
すると、ゲートルはいきなり自分のポケットの中を探り始めて、くしゃくしゃになった紙を取り出した。あまりにも無残な姿だったため、それが新聞だとすぐには判断出来なかった。
「あれ、ホラじゃなかったのかよ!」
ゲートルは、チョコレートを口ではさみながら新聞記事を指でたどった。すると、記事には小さな活字でこう書かれていた。
「サンタクロースの貴族の娘が滞在中」
記事によると、サンタクロースには分類に別れた貴族があり、その娘が各地を転々と移動しているらしく、クリスマスに過ごす町を探しているらしい。金髪で、白い帽子とマフラーをしていて、ブーツを履いているということ。右は深い漆黒のようなブルーで、左は、この国の人種と同じ黒と書いてあった。
「僕が会った子だ…」
「で?で?実際は可愛いのか?豚か?」
僕にはゲートルの声が届かなかったが、ウキーマーの声は頭に響いた。
「ルーズが惚れるくらいの女の子だよ。ゲートルは、豚じゃないくらい分かるだろう」
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