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職員室は静まり返っていた。
中にいた男は誰だろう。
何をしていたんだろう。
誰でもいいから、私をこの訳の分からない世界から元の世界へ帰らせて。
そう願いながら、職員室の扉を躊躇いなく開く。
何が有るか、思い出していた。
男はいない。
ただ、窓際に血だまりが有り。
頭の砕けた少女が横たわっている。
なっちゃん…。
頭は潰れてしまっているけれど、何とか無事な顔の血を拭う。
右目の周りが露になる。
ホクロがない。
右下にホクロが有るのが夏子。
左下にホクロが有るのが雪子。
桜の木の下に埋まっていた子はどっちにホクロが有った?
必死で思い出そうとするが思い出せない。
ホクロは土で汚れていて見えなかった。
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