呪われた赤い世界

血吸い桜

なっちゃんはこんな噂話が大好き。

他にも十三階段だとか、合わせ鏡だとか。
オカルト大好き。

口癖はいつも、
「あぁ～。一度でいいから、この目で本物の幽霊を見てみたいよぉ。雪ぃ」
そう言って、なっちゃんは私のランドセルの上に顔を載せる。
長い坂を登る重たい登校時のいつもの変わらない光景。

「重たいよ。なっちゃん」
「だぁってさ、何この長い坂。いつもこの坂って、こんな長かったっけ？」
これもいつものやり取り。

夜になったら、学校へ忍び込んでみようか？
桜の木の下を掘り返してみようか？
最近はいつもこんな話題ばかり。
そして、
「雪。今日こそ、真相を調べるよ！」
だから。きっと…、こういうのは何て言うんだっけ？
あぁ、いいや。
同じ事を何度も言われている気がするのはそのせいだろう。
だから、私はこう返すけど。
「行かない方がいいよ。見つかったら、酷い目に合うよ」
しかし、なっちゃんは絶対に引かない。
「私が決めたんだから、決定ぃ！」
そして、強制的に私は夜中になっちゃんと学校に忍び込む事となる。