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真夜中の薄暗い学校はひんやりとした空気が漂っている。
昼間の明るい笑い声の雰囲気はなく、静けさの中の自分達の靴音さえ、怖く感じてしまう。
「なっちゃん。帰ろうよ」
「駄目だよ。雪。ちゃんと調べなきゃ気になって眠れないじゃん」
右目の下にホクロが有り、私と同じツインテールの髪型のなっちゃんはママの好みで私とおんなじ髪型におんなじ服装。
左目の下にホクロの有る私は雪子。
なっちゃんとは双子なのに性格は全然違う。
よく、親戚の人達に夏子ちゃんと雪子ちゃんは足して割ったらちょうどいいね。
二人合わせて一人だね。
そんな事を言われる。
私達は学校の裏庭の桜を調べる筈なのに何故か校内にいて。
冷たい靴音が響く。
なっちゃんが桜は後のお楽しみにして、学校を探索しよう!
そう言い出したから。
一階を見て廻り、二階へと上る。
「ねぇ?この階段、何段有るか、数えてみようか?」
愉しくて仕方ないと言うようになっちゃんは笑う。
「嫌だよ。怖いよ」
「駄目だめ。数えるよ。一段、二段…」
なっちゃんは時々、凄く意地悪。
私が怖いの苦手なのを知っていて、わざと怖がらせて楽しむ。
……酷いよ。
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