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十段……。
十一段……。
十二段……。
私は怖くて、目を閉じたり開いたりして上りをしていて、なっちゃんが数える声で止まった。
良かった……、十二段だ。
そっと、目を開ける。
「……っ?!」
なっちゃんが私にぶつかりそうなくらい顔を近付けて、目を剥いて目の前に立っていた。
そして、口を開く。
「十……、三だぁ……ん」
「ひぅ……っ」
思わず、小さく悲鳴をあげそうになる。
だって、なっちゃんは真っ赤に染まっていて。
曲がった首の上、顔に有る二つの赤い目が私をじっと見ていて……。
……っ。
階段を踏み外し。
落ちる!
そう思った瞬間、なっちゃんが私を引っ張った。
「危ないよ」
心配そうに私を見つめるなっちゃんの顔はもう赤くない。
恐怖心であんな風に見えてしまったのか。
安心して、体制を整え足元を見る。
私は階段を上りきっていた。
十三段目はない。
「なっちゃんの意地悪」
そう、呻くとなっちゃんは満足そうに笑った。
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