血吸い桜

6/13
前へ
/14ページ
次へ
階段を上り切った私達は二階の廊下を極力足音を立てないようにして、そろそろと歩いて行き。 廊下の真ん中に有る広い部屋を覗く。 職員室だ。 暗いから、誰もいないとは思うけれど念のため。 職員室の中はやっぱり暗くて、誰もいない。 ほっと、ため息をつこうとした時。   ガッ!   変な音がした。   何かで物を殴るような音。   マズイ。 誰かいるんだ! 私となっちゃんは顔を見合わせてから、そろそろと見つからないように逃げる。   恐らくこんな時間に職員室にいるなんて、先生だろう。 階段まで戻ったところでなっちゃんが囁いた。   「もしかしたら、私達みたいに忍び込んだ子かも」 小声のなっちゃんに私も大きくなってしまいそうな声を必死に抑える。 「何で?先生じゃないの?」 そう言うと、なっちゃんは逃げて来た方と私とを交互にを見比べてたら説き伏せるように口を開いた。   「だってさ。こんなに暗いのに電気も付けずにいるんだよ?さっきの音はテスト用紙でも盗もうとした男子が、用紙が散乱して慌てて拾ってて、机に頭でもぶつけたのかもよ」   なっちゃんの想像力は凄い。   説得力が有る。 その通りかも知れない、そう思い始めた私は手を引かれ、またそろそろと静かにもう一度職員室に近付いて行った。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加