血吸い桜

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ガッ! ガッ! さっきの音はまだ続いていた。 何の音だろう? 近付くとグチュッと、嫌な音が時折混じっている事が分かった。 中をそっと覗く。 今度は隅々まで見える範囲を。 暗闇に慣れて来た私達の目に何かを振り上げている大人が写った。 男の先生? 持っているのは何かの棒? あっ。 「バットだ……」 なっちゃんが呟く。 呟きに反応したのか、振り上げられたバットが止まる。 ゆっくりと首が回り。 中の怪しい人が此方を向く前に私達は頭を下げて隠れる。 暫くの間、世界に音がなくなった。 いや。違う。 私の心臓の音だけが響き渡る。 職員室の中にまでその音が響きそうな気がして、背中が変な汗でびしょびしょになった。
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