サンタクロースからの贈り物

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ふわり、ふわり。 真白な雪が、地面を覆います。 今日は、皆が待ちに待ったクリスマスイヴ。 恋人や家族で賑わう街の外れに、古く佇む煉瓦作りの一軒家がありました。 そこには、売れない人形師が一人で住んでいました。 人形師を始めて、もう四十年。彼の名前は、ジェペット。 ジェペットの仕事は、鑑賞用のお洒落なアンティークの人形を作る事でした。 しかし、人形は既に必要とされる時代ではなく、ジェペットの暮らしは豊かにはなりませんでした。 その日も、注文のキャンセルの電話があったばかり。 依頼主の娘さんが、人形より素敵なドレスが欲しいとだだをこねたらしいのです。 ジェペットは受話器を置くと、長い長い溜め息をつきました。
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