始まりはサクラ色のベッドの上で

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その日、学校の授業で体育があったからなのか、それとも、いつもよりも暖かかったからなのか。それは定かではないが、幹山はとても機嫌が良かった。 そして、機嫌が良かったからなのか、体育で疲れていたからなのか。また、これも定かではないのだが、幹山は幼い頃を思いだし、ベンチに寝ころがろうと思ってしまった。 幼い頃。春になり桜が咲くと、毎日のように公園で寝ころがりいろんなものを観察した。 すべりだいをすべる小学生を見ては将来に希望し、砂場で遊ぶ幼稚園児を見れば明日の幼稚園が楽しみになり、その中にいる友達である子達を見れば一緒に遊びたくなり遊び、そしてその隣で井戸端会議をする女の人を見るとみんな砂場で遊んでる子のお母さんだろう。と少し羨ましく感じたりした。 幹山には母親がいない。いわゆる父子家庭なのだ。 母親は死んだと聞いている。 しかし、羨ましくは感じたが今の生活に満足していたし、なにより父親が好きであったのでそれほど苦には思わなかった。 なので、母親がいたらどのようなのだろう?と考えるだけだった。
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