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「何してるんだ?」
驚かさぬよう、彼なりに気を遣って声をかけたのだが、無意味だったようだ。
佐伯は、ビクリと肩を揺らすと、恐る恐るこちらを向いた。それが久世だと気付くのに、やはり数秒要した。
「久世……君?」
か細い声だ。久世は、スタスタと彼に近付きながら、
「こんな夜中に。体に障るんじゃないのか?」
少し突き放すような口調で、そう言った。
付近を見回すと、何かのパーツが散らばっている。星形やブーツ等の飾り。キラキラ光るモール。側には、プラスチックのモミの木が置かれている。これは……。
「ひょっとして、クリスマスツリー?」
尋ねると、佐伯は無言で頷いた。
「でも、クリスマスまで、まだ一週間もあるのに……」
「驚かそうと思って。……可笑しいかな。僕、大勢でクリスマス過ごすの、初めてだから」
照れ笑いを浮かべて、佐伯は嬉しそうに言った。
「なんか、ワクワクして落ち着かないんだ」
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