影民～ＫＡＧＥＭＩＮ～

59歳 元社長

｢私は自分の人生をどう間違えたのだ…なぜだ！｣
ジロウはたった今、自分の家で苦悩に溺れていた。自分で築き上げてきた株式会社が倒産したのだ。ジロウは人を信用したことがない。人はずる賢く、汚い生き物だ。そのために今までたくさんの苦労があったジロウは株式会社という名の場所を利用して人間という生き物に今まで復讐をしていた。
水増し経済。客に売った株券でできたお金を少しずつ収益からすくい取りジロウ自身のポケットマネーとして奪っていたのだ。しかし最近になってこのことがマスコミに知らされ、裁判にまで持ち込まれた。無論会社は倒産寸前。ジロウは社長の座から引きずり下ろされた。今も外では社員と客のストライキで騒がしく、一歩も外には出られない。しかしジロウは自殺を図るほどの勇気もなく自宅の床にうずくまっていた。