影民～ＫＡＧＥＭＩＮ～

59歳 元社長

ジロウはどっかりとソファーに座り込んだ。水増しが記載されているプリントから裏情報を載せた手帳。金がらみの情報を全て目の前で回収されてしまった。明日の朝にはニュースで全て洗いざらいに報道されてしまうだろう。ジロウの怒りが治まらなかった。絶対に訴えてやる！
そう思った束の間、今度はガタイの良いお兄ちゃんたちがやってきた。いつも家事を頼むルームサービスとは全く違う人。でもそのお兄ちゃんたちは部屋を片付けつつ綺麗にしていく…！？そう思ったあと、お兄ちゃんたちはあらゆる家具にラベルを貼っている。…｢売り物｣と書いてある。
｢なんだこれは！お前たちは何なんだ！警察呼ぶぞ！！｣
ジロウの一喝も相変わらず届いていない。そして座っていたソファー含め全てラベルが貼られたときに新たに人が入っていた。１人はやけに腰が低いナヨナヨしい中年男性。もう１人は女性だった。しかしジロウはその女性に見覚えがある。それもそのはず。ジロウの元奥さんなのだ。