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地位も名誉も、ましては財産も失ったジロウは途方に暮れていた。気がつけば大きな大都会、渋谷に行き着いていた。ジロウの家から近かったのだ。誰もジロウのことには気づかない。どうしようもない状況。駅のモアイ像の側に座っていた。そして考えた。これからどうしょうかと。その時、ジロウの目に映った。
「やめてください!警察呼びますよ!?」
「それより連絡先いい加減教えてよぉ。もう限界なんだよぉ。」
といい争ってる二人………………の少し奥に落ちている財布。一銭もなかったジロウは二人の間を割って財布に飛びついた。しかし財布を開けるとポイントカードばかりで何もない。再びジロウの肩から力が抜ける。またモアイ像に戻ろうとしたとき、ジロウの肩に言い合っていた男性が何が当たったかわからずにキョロキョロしながら当たってしまった。
「邪魔だっ!どけぇっ!」
腹いせにその男性をジロウは蹴飛ばした。倒れた男性は、何が起きているのかわかるはずもなく、恐ろしくなって奇声をあげてどこかへと走り去ってしまった。ジロウはそのままトボトボとまた歩き始める。しかし、そこにいた女性の目先は、偶然なのかジロウのほうに向いていた。
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