59歳 元社長

9/19
前へ
/69ページ
次へ
ジロウはお腹が空いてきた。影民は空腹感は普段無いのだが、まだ人間としての面影があるのだろう。そして気づいたら渋谷から離れにある大きな橋に辿り着いた。橋の名前はわからない。しかし橋に着いて新たにわかったことがあった。 こんなところからいい匂いが漂ってくる。いても起ってもいられなくなったジロウはその匂いを鼻を頼りに辿っていく…。 匂いは橋の下からだった。しかし橋の下にテントが多く建っていた。そのテントは焚き火を囲んでいる。なんと、その焚き火で魚を焼いているではないか。ジロウは空腹のあまりに飛びついた。焼いているだけなのにこんなに旨いとは…。しかしいいことは続かないもの。一匹食べ終わり、二本目に手を伸ばしたときに視線を感じたジロウ。気づくとたくさんの同年代のおじさんたちがジロウを囲んでいる。 ここはホームレス達の住処だったのだ。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加