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18歳 高校生
普通の学校。普通の生活。しかし、普通にいたいのにいられない人もいる。いつもの体育倉庫裏。必ずといっていいほど、「いじめられる者」と「いじめる者」というものがある。
タダシはその選ばれた不運な人間であった。いつも学問はいつもトップな典型的のガリ勉男。今日もその体育倉庫裏でタダシは同じクラスの不良たちに暴行を加えられていた。暴行が終わってボロボロになりながら立ち上がり、レンズにヒビが入ったメガネをかけなおす。髪も砂と血が混じり、手グシで直そうとするもなかなか治らない。
制服にも気を使ったときに無造作に落ちているタダシの財布に気づいた。予感どおり、参考書を買うために持っていたお金を盗られ、軽くなっていた。
「…………。」
タダシはそのままの姿で家へと向かう。できれば帰りたくはなかった。家に帰っても親には勉強しろという言葉が日常茶飯事に響き渡り、名門大学合格というさらなる言葉が、物心がついた頃からタダシの心をプレッシャーという名の鎖で締め付けられる。
案の定、家に着いて玄関に上がると母親からの一喝を食らう。
「なにやってるの。そんなに汚くなるぐらいなら早く参考書買って帰って勉強なさい!あなたにはもう時間がないのよ!?そういえばあなた参考書は!?そんな感じでは名門が受かるはずないじゃないの!いい加減に…。」
タダシはもう聞きたくないと言わんばかりに勢いよく持っていた鞄を玄関に投げつけ、説教の途中でタダシの部屋まで走り出した。タダシの目から涙が溢れていたのは、母親にとってはどうでもいいのだろうか。母親はあきれて居間に戻ってしまった。
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