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ある日、ジロウはモアイ像のところに座っていた。するとジロウの前に一人の女性がやってきた。その女性は以前、男性に絡まれていた女性だった。
「ここにいたんですね?」
女性はジロウに向かって笑った。ジロウは不思議に思った。影民になった今、誰にも見えないはずなのに…。
「あのとき助けてくれたお化けさんですね?あの時のお礼をしたくて…。」
そういうと、女性は鞄からコンビニの袋を取り出して、ジロウの足元に置いた。
「あんた、わたしが見えるのか?」
女性は聞こえていないようだ。そしてジロウの呼びかけも反応せず、ジロウに向かって拝み始めた。
「私、霊感が小さい頃からあって、幽霊が見えるんです。あの時助けてくれたときは本当に助かりました。それに最近この街にゴミとかが見えなく綺麗になったような気がします。これもきっとお化けさんのおかげですよね?」
拝み終えた女性は立ち上がった。
「街まで守ってるとお腹すきますよね?これ、食べてください。これからも見守ってくださいね?それでは、失礼します。」
女性は駅に向かって走って行った。ジロウはしばらくその場から動かなかった。
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