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なんの変哲もないコンビニのおにぎりを取り出し、一口食べた…。あの女性の笑顔が頭に浮かんできた。もう一口食べた。今度は新婚時代の奥さんが浮かんできた。あのときは可愛くて、あいつが作ってくれた食事に手を着けずにわたしの帰りを待っていてくれた…。さらに一口食べると今度は幼い頃の母親が浮かんできた……………。
冷たいはずのおにぎりなのに暖かい……。ずっと長い間忘れていたこの気持ち…思いやりだ。かじっていたおにぎりが自分の知らず知らずに流れてきた涙でしょっぱく感じる。あの女性が思い出させてくれたこの人の暖かさがジロウの目と心にしみじみやってくる。
「……あんた、今まで一人でつらかったんだなぁ…もう我慢することはないぞ?」
おじさんの言葉がジロウ自身を許してもらえた気がした。
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