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夏希
「ほら、顔洗ってさっさと来い。
母さんが待ってるぞ」
雅樹
「よし、今すぐに行く!
待ってろお袋ぅ!」
夏希
「………はぁ…」
………
菜穂子
「おはよ~」
この微笑む顔を見ることが、今日の始まりの合図。
雅樹
「うぃっす!
今日も美人だな」
俺も飛びっきりの笑顔で返す。
菜穂子
「あらあら。
雅樹もかっこいいわよ。
ううん。
昨日よりもっとかっこよくなってる」
雅樹
「や…やめろよお袋ぉ」
夏希
「いいから。
そういうのいいから」
テーブルの上には、ぴっちりと3人分の朝ご飯が並んでいる。
俺が来るまで待っててくれたのか…。
これぞまさしく家族愛!
夏希
「母さん、醤油」
菜穂子
「はい」
姉貴は目玉焼きに醤油。
俺は…
雅樹
「お袋、あれ取って」
菜穂子
「はい」
ケチャップを。
“あれ”だけで通じてしまうのも、家族だからだろう。
姉貴の場合は、わさびとかしょうがとかからしを渡してくるんだけどな…。
菜穂子
「どう?
久しぶりの早起きは」
雅樹
「あ…?
ああ…まだ眠い…かも」
今は春休みということもあっていつも起きるのは12時過ぎ。
菜穂子
「そろそろ。
慣れないとね」
雅樹
「おう」
そういればそろそろ学校始まるんだよなぁ…。
春休みっていうのはどうしてこうも短いんだろうか。
もう3年生か…。
受験生、か…。
恋とか恋とか恋とか勉強とか恋とか…とりあえず頑張ってみようと思う。
雅樹
「………」
恋…ねぇ。
鈴音、琴音、紗耶…。
そして…初恋の子…。
いやいやいや。
だからなんだって。
なんでこいつらが頭に浮かぶんだよ。
だいたい紗耶は一番ありえないって。
妹みたいなやつだし…。
まぁ…可愛いのはたしかなんだけどなぁ…。
そして初恋の子。
これは…ああ…うん。
ないない。
鈴音と琴音は…もしかしてもしかしちゃったら、ありえるかもしれないけど…。
今のところその予定はなし!
もうだめだわ。
俺の青春終わったわ。
いや…待てよ…。
転校生という兵器が来るかもしれないぞ…。
雅樹
「ふへへ」
夏希
「……なんだ?
ポチとタマを狙ってるのか?
それに紗耶って、
……立花の妹だよな?」
菜穂子
「初恋の子って誰?」
雅樹
「やめてぇ!!
人の心を読まないでぇ!!」
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