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「締めてひゃくまんえんになりまーす!」
一転ニコニコして少年はラレルのズボンのポケットに手を伸ばす。
「ぷぷっ。何これー。」
ヒヨコの絵柄がついたプラスチック製の財布を取り出して少年は笑った。当然彼等は全員革の財布だ。
ラレルはそれを奪い換えそうと試みたが四人の力で押し返される。いじめっ子達はラレルの財布を開けて中を覗いた。中身を見たイケメンは突然鬼の形相になる。
「オイコラ、ニ千円しか入ってねえぞ!」
「万札一枚もないのかよ!やっぱ井締はキモいなあ!」
ラレルはまたも馬鹿にされてしまった。しかし流石の彼等も万札は一枚も持っていない。
「しょうがねえなあ!ヤクルト代だけで勘弁してやるからもう溢すんじゃねえぞ!溢したら殴るからな」
そういってイケメンは再びラレルの鼻にヤクルトをあてがった。溢すに決まっている。
「あー、溢した!」
「溢すなっつっただろうが!」
イケメンはいきなりラレルの股関を蹴り上げた。
「ぎゃああああ!」
うずくまるラレル。何が面白いのか笑い続けるいじめっ子達。さらにはコンビニに出入りしている客達もラレルを助けるどころか彼等と一緒にクスクス笑っているのだ。
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