救いの手

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 ラレルに自分から触れた女の子など今まで全くいなかったのだ。とにかくラレルの女子からの嫌われぶりは伝説的である。  ラレルに誤って触れてしまった女子がいれば、ナントカ菌と称してクラスは大騒ぎになるのはもちろん、授業で社交ダンスの相手がラレルになってしまった女子は先生に泣きついて勘弁して貰った。  ある日の休み時間、ゆるりと腰を下ろして友達とお話しようとし、空席に座った女子はその席がラレルのものだと知ったとたん泣き出してしまった、ということもある。  ちなみにラレルのクラスには彼が学校に来なくなる前、二人の登校拒否の児童がいたが、二人とも女子で、その一人はラレルと一緒に学級委員に任命されたため、もう一人はラレルの隣の席になってしまったために学校に来なくなったのだ。もちろんラレルが不登校児になってからは二人とも元気に学校に通っている。  ラレルは今まで女子から受けた仕打ちを思い出していたが、ふと我に帰ると彼を助けた少女はラレルの顔をハンカチで拭いていた。 「おい!どうなっているんだ!」  ラレルをいじめていた少年達は長い間呆気に取られていた。
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