救いの手

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 少年の拳はハンカチで受け止められたが、彼は反対の手でも殴りかかった。しかしそれもハンカチを持った少女の左手で受け止められる。少年はさらに怒りを増し、少女の目付きは鋭くなった。 「ざけてんじゃねやぁ!」 「馬鹿ね」  さらに少年が掴みかかろうと前に出たその瞬間、少女はすでに前蹴りを彼の腹に入れていた。彼女が横を向く場面も足を上げる場面も見えなかったので、ラレルは「いつの間に」と言いたくなった。  イケメン少年は「ごおっ」と苦しそうな声を出し、その場にかがみこんでしまった。 「お、おい。大丈夫か。」 「救急車呼んだ方が良いよ。 内臓イッてるから。」  何を電波な、と少年達は思っただろう。それほど強く蹴ったようには見えなかったから。しかしイケメン少年はすぐに口から血を吹き出し始めたのだ。 「ど、どうしよう……」  ラレルも大変なことになったとあわてだした。 「ほっときなよ。私、もう行くね」  少女はハンカチをしまってさっさと行ってしまった。ラレルもその場にいるとまずそうだと思い、再びフリースクール『あおぞら』へ向かうことにした。
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