救いの手

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 自分を助けてくれたその子も同じ方向へ歩いている。 「何だか気まずいな」  そう思ったけれど、血を吐いてぶっ倒れている奴の側には、やはり居たくない。ラレルは彼女の後ろをつけるように歩きだした。いじめっ子達は血だまりによってきた人々に囲まれて、ラレルを呼び止めることができなかったらしい。  しばらく歩いても、五分歩いても少女はラレルと同じ道を歩いている。 「……すぐにわかれると思ったのに」  前方の少女と10メートルの距離を保ちながら住宅街の小道を行くラレルは一見するとストーカーだ。 「もしかしたら俺が向かっている『あおぞら』の生徒かも知れない。何しろフリースクールという場所は不登校の子が来るところだから、俺のような人間に対して哀れみも感じるだろう。そこで俺と彼女は愛を育むやも知れぬ。うひょひょ。」  都合の良い妄想を抱き、ラレルは醜い顔をさらにキモくしていると、急に前方の女の子が振り向いた。 「あ……」  「ぶひひ」とにやけているところを見られてしまったのでさらに恥ずかしい。だけど目が合ってしまったので何か言わなければいけない気がする。
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