救いの手

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「さっきはどうも……」  小さな声で二度目の礼を言った。二人の間には距離があったので聞こえなかったかもしれない。 「うう、僕は何を言っているんだ。知らない人に話かけちゃいけないって教えられたじゃないか。不細工な男は話しかけるだけでセクハラになると」 「あの、怪我しているよね?」  その少女はラレルが後悔している間も彼のことを気遣っていた。 「え!?」 「私の家、この近くだから良かったら傷の手当てしようか?」  この言葉にラレルの心臓が飛び跳ねた。 「な、何を言っているのですかお嬢さん!」 「お嬢さん?」 「知らないオジサンを家に連れ込んじゃいけないと学校で習ったでしょう!?」 「どうみても子供だけど」 「それに僕、そういう経験ないし……あうあうあうー!」 「ど、どうしたの!?」  ラレルは気が動転するとオカシナことを口走る癖があり、それも苛酷ないじめられっ子人生の原因の一端になっていた。少女は突然発狂しだしたラレルに驚いたが、とりあえず、とラレルの背中を擦り始めた。 「落ち着いて。どこが具合が悪いの?」 「別にどこも……。敢えて言えば頭が悪いです、ぐすん」 「そうみたい」
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