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「あのね、家っていっても普通の家じゃないんだ」
少女はラレルを落ち着かせて言った。
「『あおぞら』っていうフリースクールに住んでるの。個人の家じゃないから気にしなくて良いよ」
「あう、マジですかー」
「マジです」
なんとラレルの妄想通りだった。こんなことがあるものなのか。
少女に案内されるままについていくと、オレンジ色の屋根の建物についた。
「ここが、あおぞらか。なんだか幼稚園みたいな建物だな。」
「上がって上がって」
ラレルは引きこもり気味の少年だったので、知らない場所は苦手だった。小さいころは初めての店や床屋に行く度に泣いていた。
今でも見知らぬ場所へいくとびくびくする。しかしこの建物フリースクール「あおぞら」に入って見ると、なんだかとても落ち着いた。
薄い肌色の床と白い壁を見ると病院のような雰囲気だった。明かりが行き届いていないせいか、薄暗く見える所もあり、あまりアットホームな場所とはいえない。
「だけど、なんだか山の中にいるみたいに感じるんだ」
「なにそれぇ。汚く見えるってこと?」
少女は笑いながら救急箱を持ってきた。
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