救いの手

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「さ、服脱いで!」  ラレルは言葉につまった。 「踏んづけられて、身体のあちこちすりむいてるでしょう」  そういいながら、少女はラレルの胸を触る。甘い香りがした。 「で、でも……」 「あれ、なんか濡れてるね?」  ラレルが恥ずかしがっているのを他所に、少女はラレルの服に綺麗な形の鼻をあて、くんくん匂いを嗅いだ。 「ヤクルト……?」  匂いでわかるものなのか。 「お風呂入った方が良さそうだね」 「ふぇっ!?」 「着替えは私の貸してあげようか?」 「パンツはどうしようかー。  私のはく?」  刺激的な言葉を次々に投げかけられ、ラレルは言葉にならない言葉を垂れ流し、顔はまっかっかになって破裂しそうだった。 「冗談だよー!」  少女はくすくす笑いだした。 「私ね、弟の服持ってるから、あげるよ」 「くれるの?」 「うん」  少女は顔を下に向けた。だが、すぐに顔をあげる。 「私お風呂沸かしてくるね。」 風呂の準備が整うまでの間、二人は居間のような広い部屋で、ソファーに座っていた。  二人の間に沈黙が続き、ラレルは何を話そうか迷っていた。ただ、彼女の名前を聞きたかったので、それには自分から名乗らねばなるまいと考えた。
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