救いの手

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 再び沈黙が続いた。ラレルは何を話そうか迷い、殊音もその様子だった。しばらくすると、 「ただいまー!」  元気な声が玄関から響いてきた。それは子供ではなく、大人の女の声だった。 「ん? 帰ってきたかな」  殊音は玄関の方をちらっと向いたが、彼女を出迎えるようなことはせず、そのまま座っている。 「殊音ー! お、その子はもしかしたら!」  声の主が扉から現れた。ボブヘアの女性だ。胸が大きい。この人がこのフリースクールの指導者だろう、と思いラレルは挨拶しようとした。しかしタイミングが掴めない。 「もしかしたらって何? ただ怪我してるから連れてきただけだよ」  その女性は少し口を曲げた。 「そうなの。実は今日新しい子が来るって聞いてたんだけど」 「それ、僕です」  ラレルはようやく、二人に事情を話した。この女性の素性も聞いた。名前は「一津木鳴」と言い、「あおぞら」のスタッフの一人なのだが、他のスタッフが非常勤な上、経営者もなかなか姿を現さないので実質的な管理者、ということらしい。 「ラレルもここにくるつもりだったんだ! 私と会ったなんて偶然だねー」
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