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ここでラレルが風呂から上がり、キッチンにやってきた。ラレルが何をするまでもなく、鳴は元気に呼び掛けた。
「おお、ラレルくん! 今日は晩御飯を一緒に食べていってよ。ごちそうするんだよ!」
「え、あ、はい……」
「量はそんなにないけど、もし良かったら」
殊音も小さい声でラレルを夕飯に誘った。
「そうだねー。肉は結構あるんだけど、ちょっと米が少ないかなあ」
そう言いながら鳴は炊飯器を開けた。中には何もなかった。
「何もないってことはないさ。ここについてるご飯粒を集めるとだねー」
「ねえナル、それは一般的になにもないっていうのよ」
この会話から、ラレルは彼女達の経済状況を察することができた。
「あの、別に無理していただかなくても……」
「えー! せっかく食べていってよ、お願いだから」
「そんなこといったってほとんど食べるものないじゃない。しょうがないよ」
殊音が鳴をなだめ始めた。やだ、やだ、と駄々をこねるのは鳴。どっちが子供かわからない。結局ラレルはご馳走になることにし、米はラレルの家から持ってくることを提案した。二人ともお腹が空いているせいか、特に遠慮はしなかった。
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