救いの手

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 ラレルは、ちょうど最近できたらしい近所のフリースクール『あおぞら』に向かった。そこで上手くやっていく自信はない。しかし自分の部屋にすら居場所がない彼は旅立つしかなかった。  ラレルが『あおぞら』に向かう途中、住宅街の中に紛れこんでいるコンビニの前で同級生達にあった。 「おおっ!?井締クンではありませんか?」  大袈裟に呼び掛ける茶髪の少年達。彼等はラレルを見つけるなりすぐに大きな声で笑い出した。 「相変わらずキモい顔してるなあ!」  馴れ馴れしくぽんぽんとラレルの肩を叩く少年。こんな失礼なことを言うだけあって、彼は小学生ながらかなりモテるイケメンサッカー少年だ。対してラレルはオジサン眼鏡をかけた豚鼻の天パで油まみれで出歯で顔デカで老け顔で…… 「うるさい!!」  という風なとにかく不細工で哀れな小学生なのだ。 「井締がキレたぞ!」 「うわー、怒るともっとキモーい!」 「血圧上がるぞ!」 「乳酸菌取ってるぅ?」  ラレルが怒り出すのが楽しくて仕方がないようで、ラレルが怒ると彼等はいつも手を叩いてハッスルする。 「ねぇねぇ、乳酸菌取ってるぅ?」
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