小さな配達人

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隠す気は元よりない、天井を見上げながら晃は独り言のように言う。 「スティールって言えば分かるかな?……特環では全支部に指名手配されているし」 それを聞いた玲奈が少し驚いた顔をする。 「スティールさんですか!?……”さくら”さんがよくあなたの話を聞いてます、中々骨のある男だって」 (…………”さくら”か、懐かしい名前だな……) 「玲奈ちゃん、西中央支部に所属してるの?」 そもそも配達係なんかがいるのは特環の西中央支部だけなのだが、すっかり失念していた…………玲奈がこくりと頷く 「はい、西中央支部特殊班所属、火種十号局員、コードネーム”まるむし”です」 「……わかった……じゃあ、改めてよろしく玲奈ちゃん」 そういって晃は笑顔で玲奈を見る。 「はいっ!」 「とりあえずケーキを食べようか。」 晃はケーキを大きく口にほうばり、一気にケーキが姿を失っていく。 それを見ていた玲奈も負けずとケーキを食べ始める。 「はむっ」
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