プロローグ

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…ここはホラント市、のどかな街だ。特環もいるにはいるがあまりたいしたことないみたいだし。 しかし頼りになる友人達がいないのは少し寂しい………。 「この前友達が虫憑き見たんだって~」 「うっそ、マジで!その友達どうしたの?」 女子高生が他愛のない会話をしていたのが耳に入った。 ”虫” 思春期の少年少女に取り憑き、宿主の夢を代償に自らの力を分け与える超常の存在。 ”虫”と呼ばれるそれに憑かれた者は”虫憑き”と呼ばれ、一般的には噂の範疇内であるにもかかわらず、人々の差別と恐怖の対象とされていた。 「……良さそうな店だな」 そう言って晃はケーキ店に入った。 「いらっしゃいませっ!」と元気な声で店員が挨拶をする。 晃は並べてあるケーキをじっと見つめる。 「あ……とりあえず、モンブランとラズベリーパイとショートケーキを……ホールで」 「お持ち帰りですか?」 当然、持ち帰ると思うだろうが彼は違った 「いや、ここで食べるよ」 店員の動きが一瞬止まる、そしてぎこちない声で「か、かしこまりました、あちらの席でお待ち下さい」と言った。 しばらくしてケーキが運ばれて来た、まずモンブランを食べる。 (うん、中々の味だ) ……次にホールケーキ二つを食べようとした時だった、
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