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突然、名前を呼ばれた。
振り向いたら、すきだ、
と言われてぎゅっと体を押し込めた。
凄いね、お前はそうやって自分の想いを充分に知らせることが出来る。
「離れて、田島、困───、困るん、だ」
ひとつひとつ、どうしたら傷つけないか、言葉を選んで探ったのに、俺はバカだからこれしか言えない。
「困るな、泣きそうになるだろ…」
良く言うよ、泣きたいのはこっちなのに。
「どうしたら許してくれる??」
離れて、お前が思っているようにお前を好きじゃない俺を赦して。
一瞬、田島の体がびくりと揺れた。
ああ、なんでだろう、なんだか切ない。
田島の濡れたてのひらがひどく冷たくなった様な気、がして。
だから
なのだろうか、これは、同情??
「…キスしてよ、穂坂」
そう呟いた彼の口唇を、ためらいもなく塞いでしまった。
…これは、
どの気持ちから来るもの??
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