++ちいさなくちびる++

3/3
前へ
/3ページ
次へ
突然、名前を呼ばれた。 振り向いたら、すきだ、 と言われてぎゅっと体を押し込めた。 凄いね、お前はそうやって自分の想いを充分に知らせることが出来る。 「離れて、田島、困───、困るん、だ」 ひとつひとつ、どうしたら傷つけないか、言葉を選んで探ったのに、俺はバカだからこれしか言えない。 「困るな、泣きそうになるだろ…」 良く言うよ、泣きたいのはこっちなのに。 「どうしたら許してくれる??」 離れて、お前が思っているようにお前を好きじゃない俺を赦して。 一瞬、田島の体がびくりと揺れた。 ああ、なんでだろう、なんだか切ない。 田島の濡れたてのひらがひどく冷たくなった様な気、がして。 だから なのだろうか、これは、同情?? 「…キスしてよ、穂坂」 そう呟いた彼の口唇を、ためらいもなく塞いでしまった。 …これは、 どの気持ちから来るもの??
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加