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ベルトラン・ド・ブーランジィとジャン・ド・メッツは森には入らず教会の裏でジャンヌが帰ってくるのを待っていた。 かれらはヴォークルールから護衛してきた6人の従者のうちの2人だ。 突然、森の入り口近くでガサガサと音がした。 二人は同時に音のする方に顔を向けながら立ち上がった。 ジャンヌが森から姿をあらわすと鎧を鳴らしながら近寄っていった。 「何かお告げはありましたか?」 二人の表情は妙に明るい。次の神託に対する大きな期待のあらわれのようだ。 「はい、ありました」 険しい顔のままジャンヌは答えた。 「それで主はなんと?」 「いえ、どうやら今回のお告げは私だけに架せられた試練のようです」 2人は思わず顔を見合わせて不思議そうに首を傾げた。 「ジャン、頼みたいことがあります」
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