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ジャンは神父とかけあい教会の裏を掘る許可をもらった。 ベルトランと2人で神父の立ち会いの中、剣の鞘を使ってジャンヌが指さした地面を掘りはじめた。 しばらく掘りかえすと何か硬い物にいきついた。 「お! これは石じゃなさそうだぞ」 ベルトランは額の汗を拭いながらその周りをさらに掘り起こした。 「これですかね?」 ジャンは一度手を止めジャンヌを見上げながら聞いた。 穴はすでにジャンの膝くらいまで掘り込まれている。 「はい、たぶんそれです」 ジャンヌは静かにひざをついて掘り返された場所に視線を近づけた。 まだ全体が見えていないそれをベルトランは両手でしっかりと持ち強引に引っぱりだした。 反動でよろけながらも土の塊ごとそれは抜き取れた。 一緒についてきた土を手でバラバラと落とすと細長い鉄の棒が姿をあらわした。 「これは…杖ですか?」 ジャンは口をとがらせた。 「いや、それにしては細いし奇妙に反り返っているぞ」 ベルトランは首を少しねじって答えた。 「じゃこれなんなんだ?」 「それはその…お前…棒だろう」 「何に使う棒だよ!」 2人は口々に話したが結論は当分でないようだ。 それを横目にジャンヌはまだ少し土でおおわれているそれを両手で持ち神父の方へ体を向けた。 「神父様、すいませんが土を流したいので水をいただけませんか?」 「ま、まち…まち…」 神父はおどろいた表情そのままで返事もしどろもどろに教会の中へと走りだした。 ジャンヌはスクッと立ち上がりまだ言い合っている2人を制した。 「お告げ通りこの場所にありました。 まずは土を洗い流してから何であるか確かめましょう」
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