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そこには小さな森にしては不似合いな巨木が、まるで門のように2本平行に並んでいた。
少女はその木の前でいったん止まり、胸に軽く手をあてて呼吸を整えた。
少し体をかたむけながら森の中をのぞき込んでみると、そこには光の射さない暗闇が広がっていた。
木が風でさわいだり葉っぱがゆらゆら落ちるなどの、かすかな動きがひとつもない。
静かで鳥のさえずりさえ聞こえない。
まるで時間そのものが止まってしまっているような森に思えた。
少女は少し違和感を感じながらも、そこに道があるかのように奥へ歩き出した。
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