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西暦1429年 4月末
静かな森の中でジャンヌはひとり天から光を受けていた。
膝をつき両手を軽くにぎり胸にあてている。口元はかすかに動いてはいるが言葉にはなっていないようだ。
やがて徐々に光がうすれてゆく。
ゆるやかに目をあけた時にはいつもの薄暗い森に戻っていた。
見上げていた視線を地面に下ろし現実に戻ってきたことを確認する。ふーっと大きく息をつき自分を落ち着かせた。
途端に険しい表情に変わった。
(どうしてこんなお告げが…)
静かに立ち上がり、もう一度天を仰いだ。
先ほどまであの神々しい存在はたしかにそこにいた。
しかし今は気配すら感じれない。
ジャンヌは険しい表情を変えず早足に森を抜けシノン教会の裏に出た。
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