ネガイ

2/3
361人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
いちばん古い記憶は、デパートの中で母に 「クリスマスプレゼントは何がいい?」 と聞かれて 「妹が欲しい」 と答えたこと。 デパートの中はクリスマス一色で赤や緑、白で埋め尽くされ電飾が輝いていた。 その後母がとても悲しい顔をしたことを鮮明に覚えている。 「鷹彦(タカヒコ)、うちにはお父さんがいないから妹はプレゼント出来ないな」 子どもながらに母を困らせてしまい、悪いことをしちゃったなと反省し、もう二度とこのネガイは口にしないと誓った。 俺は私生児だったから父は居なかった。
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!