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除夜の鐘が静まり返った辺りに鳴り響く。
寒そうに肩をすくませて歩く泉の手を強く握る。
握り返されたその温もりに安心して、自然と笑みが零れる。
二年参りに向かう人通りは少なくて
もしかしたら、このせかいで泉と二人だけなんじゃないだろうか…
なんて、そんな錯覚にさえ陥りそうになる。
「何、にやけてんだよ。気持ち悪ぃ…」
眉をひそめ、冷たい視線を送る泉の頬を両手で包み込みゆっくりと触れるだけのキスをする。
唇が離れる瞬間に最後の除夜の鐘が終わった。
A HAPPY NEW YEAR!
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