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「スキッテムズカシイ」
そう、ぽつりと呟いたのを耳賢い栄口は聞き逃さなかった。
「ふーん…泉もそんな事、考えるんだ」
「何それ?どーゆー意味?」
栄口の云わんとするところがわからなくて口を尖らす。
「だって、泉って全身全霊で愛されてますって感じたよ?」
それまで日誌を書いていた栄口の手が止まり、日誌を閉じる。
本日の部活はミーティングのみ。今日の日誌当番の栄口は、委員会だという水谷を、オレは応援団のミーティングだという浜田を部室で待っていた。
「栄口だってそうじゃん。なに、そのお揃いの首にぶら下げてる物は。」
栄口と水谷の首にはお揃いのシルバーアクセ。しかも恐ろしい事にお互いのイニシャル入り、ときたもんだ。
「これは水谷が勝手に…」
苦笑いしながら栄口が答える。
アァ、ソウナンデスカ?
その割には顔が赤いんですけど?
「水谷ってマメだよなー」
「でしょ!?なんか手慣れてるようでムカつくんだよね」
笑顔ではいるものの栄口の目はマジだ。
おいおい、水谷。お前、栄口に一体何したわけ?
やだよ、オレ。とばっちり来るのはさー
「一緒に買い物とか行ってもさ、別れてすぐにメールで『今日は楽しかったね』とか送ってきたりさ」
うっわー!水谷そんなことするんだ。思わず笑ってしまう。
羨ましいというよりかは、オレは背中に虫酸が走っちゃうけど。
オレやだ。そんな恋人、絶対嫌だ。
もし、浜田がそんな事したら、ブン殴ってる所だね!
「7組行ってもいっつも女の子と話してるし」
「毎日おはようとおやすみの電話とメールしなきゃならないし」
あ、やばい。
「しないと拗ねちゃうし、子供みたいだよね」
同意を求められましても…。
結局、最後はノロケですか。そうですか。
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