天国と地獄

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「おっ。ただいま。なんだ、涼子まだ起きてたのか。こんな時間まで。先に寝てていいんだぞ。」 「おかえりなさい。ご飯、温めるわね。」 「ああ、頼む。先に風呂に入ってくるよ。」  涼子にとってこの日は特別だった。 (恭一さん、何て言うかしら・・・。)  涼子は思わず、にやけてしまった。  夫の恭一は大手の商社マンで、最近大きなプロジェクトを任されている。帰宅時間が遅くなり、休日すら出ることも多くなった。  涼子は遅い夕飯に付き合った。 「ん?どうした?俺の顔見て。」 「今日、病院に行ってきた。」 「え、どこか悪いのか?どうしたんだ?」 「今朝ちょっと気になったから薬局に行って・・・それからもしやと思って病院にね。」 「どうした。どこが悪いんだ?」  涼子はにやっと笑って席を立った。すぐに戻り、手にしていたものを恭一に差し出した。 「おい、涼子。これって・・・。」  涼子は恥ずかしそうに頷いた。 「この赤い線は・・・っていうことか?」  恭一は妊娠検査キットの赤い線を見つめた。 「で産科に行ったのか?」「おめでたですよって。」 「本当か。やった、すごいじゃないか。」
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