入園

2/4
前へ
/46ページ
次へ
 七海が入園式を迎えた。今年は四歳になるのだった。涼子は七海の手を取って幼稚園へと歩いた。母も来てくれた。 「ねえ、パパはいつ帰ってくるのお?」 「外国でね、遠くの国で大事なお仕事をしているのよ。だからまだ帰ってこられないの。」 「ふうん。パパと来てるお友達多いよお。いいなあ。」 「パパだって来たかったのよ。帰ってきたらいっぱい遊んでもらおうね。」 「うん。」  涼子は赤飯を炊き、ご馳走を作った。 「さあ、今日は入園のお祝いよ。」  七海よりも涼子の方がこの日を楽しみにしていた。もう話のできる七海に恭一はどんな話をしたのだろうか? 「七海、こっちにいらっしゃい。」  七海は目を輝かせて涼子のもとに走ってきた。 「七海、実はね、パパからビデオが届いたのよ。見てみる?」 「え~。本当?うれしい。見る見る見るぅ。」 「ママも見てないのよ。楽しみね。」 《・・・・・七海、幼稚園、入園おめでとう。ずいぶん大きくなったねえ。パパびっくりしたよ。泣かないで幼稚園へ行けたかな?》 「え、パパはななみが見えるのお?ママあ。」 「見えるのかもしれないよ。」
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

203人が本棚に入れています
本棚に追加