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七海が入園式を迎えた。今年は四歳になるのだった。涼子は七海の手を取って幼稚園へと歩いた。母も来てくれた。
「ねえ、パパはいつ帰ってくるのお?」
「外国でね、遠くの国で大事なお仕事をしているのよ。だからまだ帰ってこられないの。」
「ふうん。パパと来てるお友達多いよお。いいなあ。」
「パパだって来たかったのよ。帰ってきたらいっぱい遊んでもらおうね。」
「うん。」
涼子は赤飯を炊き、ご馳走を作った。
「さあ、今日は入園のお祝いよ。」
七海よりも涼子の方がこの日を楽しみにしていた。もう話のできる七海に恭一はどんな話をしたのだろうか?
「七海、こっちにいらっしゃい。」
七海は目を輝かせて涼子のもとに走ってきた。
「七海、実はね、パパからビデオが届いたのよ。見てみる?」
「え~。本当?うれしい。見る見る見るぅ。」
「ママも見てないのよ。楽しみね。」
《・・・・・七海、幼稚園、入園おめでとう。ずいぶん大きくなったねえ。パパびっくりしたよ。泣かないで幼稚園へ行けたかな?》
「え、パパはななみが見えるのお?ママあ。」
「見えるのかもしれないよ。」
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