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涼子は思わず微笑んだ。
《七海、今日は一緒にお祝いできなくてごめんね》
「パパ、いつ帰ってくるのお?」
《ママとごちそう食べてね。七海、幼稚園はねえ、これからたくさん楽しいことがあるし、お友達がいっぱいできるよ。》
七海は恭一と話ができると勘違いして懸命に頷いたり話しかけたりした。
《七海は本当に可愛くなったなあ。抱きしめたいよ。七海、こっちにおいで。パパとチューしよう。ママと毎日しているだろう?パパにもしてほしいなあ。》
「いいよお。」
七海はブラウン管の恭一にキスをした。
《涼子、ありがとう。七海はまっすぐに育っているね。肩に力を入れず、父親の役割までしなくていいんだよ。だから叱りすぎてはいけないよ。我慢するくらいがちょうどいいんだよ。
お金は大丈夫か?親父に頼んであるから心配ないよ。
パートで無理して体壊さないようにな。それからたまには自分の好きなこともしてストレス発散しろよ。疲れちゃうからな。
横で七海がポカーンとして見ているだろ、そうだろ?
なんか変な感じだなあ。もうすぐ三十代だもんなあ。きれいになったんじゃないか?
いつも女らしくしてなきゃだめだよ。
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