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「パパになるんだから無理しないでね。少し痩せたみたいだし。」
「大丈夫だよ。それにしてもなあ・・・胃薬とってくれ。俺が父親なんて想像つかないな。家も買ったし今年はいいことばかりだ。」
その夜は遅くまで笑いが絶えなかった。
しかし、変調は訪れる。しかもゆっくりと確実に。
数ヶ月後・・・
だんだんと恭一から笑顔が消え、頬がこけてきた。口数も少なくなってきた。体調が良くないとこぼすようになった。
涼子は心配し、何度も病院を勧めたのだがいつも笑って拒んだ。
ある日、会社から電話がかかってきた。
「恭一君が吐血して倒れ、病院へ運ばれました。病院は・・・」
涼子はパートを終わらせて、すぐに病院に駆け付けた。
恭一は眠っていた。極度の疲労とストレスによる胃潰瘍ではないかとのことだった。そのまま入院し、精密検査を受けることになった。
後日・・・
涼子は主治医から電話で呼ばれた。涼子は気持ちを落ち着つかせることができなかった。病院に着くと、恭一は寝ていた。主治医が様子を見にきて診察室へ招いた。主治医は無表情だった。涼子は何かを読み取ろうとしたが無駄だった。
主治医が重い口を開いた。
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