序.

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 やっとの思いで校舎の角を曲がると、そこには後ろを向いて立った彼女が健気に待っていてくれた。  その男が自分の背後にいることには気付いていないようだ。  キョロキョロとセミショートな髪を振りつつ、右を見たり左を見たり、なかなか来ない誰かを捜しているようだった。  そして後ろを振り返った時、彼女はその誰かを見つけて微笑んだ。 「あ、いたいた秋護君。私に用事があるって言ってたけどなぁに?」  少し離れていてもよく分かる。  
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